1匹で留守番させるのがかわいそうだから、もう1匹迎えたい。そう思って子猫を連れてきたら、先住猫が押し入れから出てこない。ごはんも食べない。3日目には「元に戻せないだろうか」と検索している。
先に結論を書きます。2匹目がうまくいくかどうかを決めるのは、性格の相性より「先住猫の生活が何も減らないこと」です。席も器もトイレも1匹分のままで2匹になる家では、もめないほうが難しいです。
先住猫に起きているのは、友だちが増えたことではなくなわばりが半分になったことです。集団で狩りをしない動物にとって、知らない個体がなわばりに入るのは歓迎する出来事ではありません。やることは、減った分を人が足して戻す作業になります。落ち着くまでは1か月から3か月を見ておいてください。この期間の警戒は、失敗の証拠ではありません。
毎年9月20日から26日は動物愛護週間です。この記事は迎える前に決めておくことと、迎えたあとの2週間に絞ります。
迎える前に決めておく3つのこと
迎えてから考えると、たいてい間に合いません。
- 隔離する部屋をどこにするか。扉が閉まる部屋が1つ必要です。最初の1週間、新入り猫はそこで生活します。廊下やケージでは足りません
- 先住猫の生活をどこも変えないと決める。寝場所、ごはんの位置、トイレの位置、遊ぶ時間。変えるのは新入り側の環境だけです
- うまくいかなかったときにどうするか。別々の部屋で暮らす形を続けられるか
3つ目を先に決めておくのは悲観ではありません。決めてあると焦らずに済みます。急がされた対面がいちばん失敗します。
増やすべき「数」のリスト
2匹だから2倍、という話ではありません。取り合いが起きる資源だけ多めに用意します。
| もの | 2匹での目安 | なぜ |
|---|---|---|
| トイレ | 3個(頭数+1) | 1個を見張られると、もう1匹が我慢します |
| 水飲み場 | 3か所以上 | 飲む量が落ちる原因がここに出ます |
| ごはんの器 | 2個・離して置く | 隣同士だと早食いと横取りが起きます |
| 高い席 | 2か所以上・高さを変える | 同じ高さだと順位争いになります |
| 隠れ家 | 2個以上・別の部屋に | 逃げ込む先がないと、威嚇が戦いになります |
| 爪とぎ | 2個以上・通り道に | においを付ける場所の取り合いを防ぎます |
効果がいちばん大きいのはトイレと水飲み場です。どちらも我慢が体に出るからです。
最初の2週間は、会わせないところから
同じ部屋に入れて様子を見るやり方は避けてください。
- 1〜3日目:完全に分ける。姿は見せません。扉の下から匂いだけが行き交う状態です
- 4〜7日目:においを交換する。それぞれが寝ていた布を入れ替えます。唸るなら、まだ早いということです
- 7〜10日目:部屋を入れ替える。姿は合わせず、場所だけ交換します
- 10〜14日目:見えるが触れない。扉を少し開けて押さえるか、ゲート越しに。数十秒で切り上げます
- 14日目以降:短い同室。人がいる時間だけ、最初は5分で区切ります
日数は目安です。先に進む条件は日付ではなく、前の段階で唸らない・食べる・眠れるの3つが揃っていることです。
対面は、いつでも一段戻せるようにしておく
進め方より大事なのが戻し方です。取っ組み合いになってから分けるのでは遅く、その1回で数週間分の進みが消えます。
戻す合図は、耳が横に倒れる、しっぽが太くなる、体を低くして固まる、低い唸り声。どれかが出たら、その場で一段前に戻してください。叱らず、静かに扉を閉めるだけです。
ここは正直に書いておきます。相性は事前には分かりません。段階的な対面の手順を踏んでも、最後まで距離を置いたままの組み合わせはあります。その場合の目標はお互いを避けられる家にすることに変わります。別々に暮らしている2匹は、失敗ではありません。
先住猫のストレスは、行動のほうに出ます
先住猫は「つらい」と鳴いてはくれません。変化はふだんの行動に出ます。
- ごはんを残す、食べる時間が夜中にずれる
- トイレ以外で排尿する、マーキングが始まる
- 同じ場所をなめ続けて、毛が薄くなる
- 一日中隠れて、人が寝てから動く
- 電気コードやビニールを噛み始める(誤飲と感電の危険があるので、様子見にしないでください)
最後の1つは環境が変わったときに出やすく、危険度が高い行動です。原因を探す前に、物理的に届かなくする対処が先です。やり方は猫が電気コードを噛むときにまとめています。
また、新入り猫が来た家では生活音が増えます。音に敏感な先住猫では、対面より先に音が負担になっていることがあります。大きな音を怖がる猫の考え方がそのまま使えます。
上下と隠れ家は、迎える前に足しておく
2匹が同じ床で暮らすと、逃げ道は横方向しかありません。上に逃げられるだけでもめごとが減ります。
足すのは高さより高さの違う席を2つ以上です。同じ高さの席が並ぶと、そこが争点になります。
爪とぎも増やしてください。においと跡で「ここは自分の通り道だ」と示す行動なので、先住猫の爪とぎを新入り猫に使わせるより、もう1つ置くほうが早く済みます。ScratchOrb(回転サイザルボール爪とぎ)のように床置きのものは、あとから足しやすいです。環境の見直しは室内猫の必需品もご覧ください。
ごはんと水とトイレが、取り合いの起点になります
ケンカは資源のそばで始まります。置き方だけで防げるもめごとが多いということです。
- 器は離す。並べると早い猫が両方食べます。別の部屋でも構いません
- 食べ終わるまで人がいる。最初の2週間は見ている前で食べさせます
- トイレは3個、別の場所に。並べて3個置くのは1か所と同じ扱いです
- 水は部屋ごとに。飲み場が1か所だと、見張られた側が飲まなくなります
多頭飼いで最初に落ちるのは、たいてい飲水量です。器を増やすのが簡単ですが、流れる水のほうがよく飲む猫もいます。Aqua Bot 2.0(フィルター不要の自動給水器)を足す場合も、元の器は片づけないでください。
子猫を迎えるときと、成猫を迎えるとき
同じ2匹目でも、必要な準備が違います。
子猫は警戒されにくい代わりに、遊びの量が違いすぎます。先住猫が成猫やシニアだと、追いかけられて休めません。子猫の運動量は、人と玩具で吸い取ってください。クローリングクラブ(動くカニの知育トイ)のように自分で動く玩具を先住猫から離して置くと、追いかけっこが減ります。
成猫は警戒が強く出る代わりに生活リズムが合いやすく、落ち着いたあとの距離感は安定します。どちらの場合も、先住猫と1対1で遊ぶ時間だけは以前と同じだけ確保してください。
こういうときは獣医師へ
環境の問題として様子を見てよいものと、そうでないものがあります。
- 先住猫が丸1日以上、まったく食べていない
- トイレ以外での排尿が数日続く、量や回数が変わった
- 同じ場所をなめ続けて、皮膚が見えてきている
- ケンカのあとに腫れや傷がある
- 【緊急】おしっこが出ていない、トイレに何度も入るのに出ない(当日中の対応が必要です)
- 【緊急】ひもやビニール、コードを飲み込んだ可能性がある(様子を見ずに連絡してください)
最後の2つは時間で悪くなります。ここに挙げたものは相談するきっかけで、原因を家庭で判断するためのものではありません。始めた時期と重なっただけで、別の理由のこともあります。
よくあるご質問
2匹目を迎えるとき、最初に何をすればいいですか?
扉が閉まる部屋を1つ空けて、新入り猫をそこだけで生活させてください。最初の1週間は姿を合わせません。同時にトイレを3個、水飲み場を3か所以上に増やします。先住猫側の環境は変えないのが原則です。
先住猫と新入り猫を会わせるまで、どのくらいかかりますか?
目安は2週間ですが、日数ではなく段階で判断してください。前の段階で唸らない、ふだんどおり食べる、眠れている。この3つが揃ってから次に進みます。
先住猫が隠れて出てきません。大丈夫でしょうか?
隠れること自体は最初の数日ならよくあります。見ておくのは食事と排尿です。丸1日以上食べていない、おしっこが出ていないときは動物病院へ。食べて排尿できているなら、隠れ家はそのまま使わせてください。ここで無理に引き出さないでください。
ケンカしているのか遊んでいるのか分かりません
声とあとの様子で分かります。低い唸り声や悲鳴、毛が逆立つ、終わったあとどちらかが隠れる、なら遊びではありません。遊びは静かで、追う役と追われる役が入れ替わります。
どうしても仲良くならない場合はどうすればいいですか?
相性は事前に分からず、最後まで距離を置いたままの組み合わせはあります。その場合は仲良くさせることをやめて、お互いを避けられる家に作り替えてください。トイレ・水・席・隠れ家を別の部屋に分ければ成り立ちます。