お盆や年末年始、帰省の予定が決まってから預け先を探し始めて、どこも埋まっていた。毎年この順番で慌てる人が多いところです。
先に結論を書きます。選ぶ順番は「猫を動かさない順」です。ただし持病があって投薬が必要な猫だけは、この順番が変わります。
比べる軸は「サービスの良さ」ではありません
猫は縄張りで暮らす動物なので、場所が変わること自体が負担になります。犬のように「飼い主と一緒ならどこでも平気」とはなりにくく、飼い主が同行していても、知らない家や施設が安心材料になることはあまりありません。
ですから預け先を比べるときの軸は、設備やサービスの良し悪しではなく、猫がどれだけ動かずに済むかです。そして人にとっての手軽さと、猫にとっての負担は、たいてい逆を向きます。
選択肢は4つ、優先順位はこの順
| 選択肢 | 猫の負担 | 人の目 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ペットシッター(自宅に来てもらう) | 小さい | 1日1〜2回 | 2泊以上。多くの猫で第一候補 |
| 知人・家族に見回りを頼む | 小さい | 頼めた回数だけ | 1〜2泊。近所に頼める人がいる |
| ペットホテル | 大きい | 常時ある | 自宅に人を入れたくない、脱走が心配な家 |
| 動物病院での預かり | 大きい | 常時+医療 | 持病・投薬・高齢。この場合は最優先で検討 |
表にない選択肢として実家に連れて行くがありますが、これは多くの場合いちばん負担の大きいやり方になります。理由は後で書きます。
なお、そもそも預けずに留守番で足りるのかどうかは、猫の留守番は何日まで?のほうで整理しています。日数の線引きはそちらを先に見てください。留守番で乗り切る場合、いちばん先に確認したいのは水です。自動給水器を使っているなら、出発前に一度洗って満水にしてから出てください。手順は猫用給水器のお手入れにあります。汚れたまま何日も回すと、置いてあっても飲まなくなります。
ペットシッターを選ぶとき、確認すること
- 動物取扱業の登録番号を掲示しているか(他人の猫を預かる仕事には登録が必要です)
- 事前打ち合わせ(顔合わせ)があるか
- 1回あたりの滞在時間と、1日の訪問回数
- 報告の方法。写真つきで届くか
- 鍵の預け方と返却方法
- 賠償責任保険に加入しているか
- 猫が隠れて出てこなかったとき、どうするか
最後の項目が実は重要です。知らない人が家に入れば、多くの猫は隠れます。姿を見せないまま3日が終わることも普通にあります。そのときに猫本体が見えなくても、水の減り方・食事の減り方・トイレの使用跡で状態を確認して報告してくれるか。ここを事前に聞いておくと、「今日も会えませんでした」だけの報告で不安になる展開を避けられます。
ペットホテルを選ぶとき、確認すること
- 猫のスペースが犬と分かれているか。鳴き声とにおいが届く環境は猫にはこたえます
- ケージの広さと、上下方向の余裕
- ワクチン証明書の要否と、有効期限の条件
- いつものフードとトイレ砂を持ち込めるか
- 脱走対策。扉が二重になっているか
- 食べなかったときの連絡基準
持ち込みの可否はとくに確認してください。環境が変わったうえにフードまで変わると、食べない猫が出ます。フードとトイレ砂を普段のまま持ち込めるだけで、猫にとって変わる要素が2つ減ります。これは追加料金を払ってでも確保する価値があります。
実家に連れて行くのが、いちばん難しい理由
家族がいて、部屋も広くて、人の目もある。条件を並べると良さそうに見えます。ただ猫の側から数えると、一度に変わる要素が多すぎます。
- 長時間の移動が加わる
- 家の構造を知らない。隠れ場所も逃げ道も分からない
- 玄関の開閉が多い。帰省シーズンは来客も重なります
- 実家の犬や猫との顔合わせが発生する
- 網戸や窓の対策が、自宅ほどされていない
いちばんのリスクは脱走です。知らない家でパニックになった猫は、玄関が開いた瞬間に出ます。しかも土地勘がないため、自宅から出てしまった場合よりも見つけにくくなります。
それでも連れて行く場合は、着いてすぐ家じゅうに放さないでください。1部屋を猫専用にして、キャリーごとその部屋に置き、扉を開けて自分から出てくるのを待ちます。水とトイレはその部屋の中に。家族には、当日はドアを開けっぱなしにしないことと、抱っこしに行かないことを先に伝えておいてください。家全体に出すのは、その部屋で普通に食べて寝るようになってからです。
予約は「日程が決まった時点」で押さえる
お盆・年末年始・ゴールデンウィークは、シッターもホテルも埋まります。そして初めて使う先ほど、直前では間に合いません。初回は事前の打ち合わせや面談、書類の提出が必要なことが多いからです。
繁忙期は1〜2か月前を目安に、初めて使う先ならさらに余裕を持って連絡してください。空きが見つからなかったときに、留守番+知人の見回りへ切り替える時間も残せます。
預ける前の1週間でやること
- キャリーに慣らす。NYASOBI 猫用キャリーバッグのようなキャリーは、当日いきなり入れようとしても入りません。扉を開けたまま部屋に出しておいて、中で寝る状態を作ってから当日を迎えてください
- ワクチン証明書を用意する。ホテルでは必須のことが多く、有効期限の条件もあります
- いつものフードとトイレ砂を小分けにする。日数+1日分あると安心です
- 食事量と排泄の様子をメモしておく。預け先に渡すと、異変の判断が早くなります
- 使い慣れた寝床かタオルを1つ。ピーカブーケーブ(猫用隠れ家ベッド)のような囲われた寝床を普段から使っているなら、それごと持ち込めると変わる要素が減ります。ただし条件は自分のにおいがついていることで、当日買った新品には意味がありません
フェロモン製品を試す場合も同じ考え方です。CalmFurry フェロモン首輪(猫用リラックスカラー)もその一つですが、正直に書いておくと反応には個体差があり、まったく変化が見られない猫もいます。預ける当日に初めて着けるのは避け、数日前から短時間ずつ慣らしてください。首輪を強く嫌がる猫に無理に使うと、減らしたかったストレスが増えます。
こういうときは獣医師へ
次のような場合は、預け先選びの前に相談したほうがよい段階です。
- 持病があり、投薬が必要(動物病院での預かりを最初に検討してください)
- 高齢で、最近食欲や体重に変化がある
- 預け先から「丸一日食べていない」と連絡があった
- 帰宅後、数日たっても食べない、排泄の回数が戻らない
- おしっこが出ていない、何度もトイレに行くのに出ていない
最後の項目は、猫では緊急性が高いことがあります。旅行中・帰省中であっても、預け先から連絡があった時点で動物病院にご相談ください。持病のある猫をどこに預けるかという判断そのものも、かかりつけの獣医師にご相談いただくのが確実です。
ふだんの環境づくりや留守番の備えは室内猫の必需品にまとめています。
よくあるご質問
猫はペットホテルとペットシッター、どちらがいいですか?
多くの猫ではペットシッターのほうが負担が小さくなります。環境が変わらず、移動もないためです。ただし人の目が常時あるのはホテルのほうなので、脱走が心配な家や、自宅に人を入れたくない場合はホテルが向きます。持病があって投薬が必要なら、動物病院での預かりを最初に検討してください。
猫を実家に連れて行くのはよくないですか?
条件だけ見ると良さそうですが、移動・知らない家・来客の多さ・他のペットと、変わる要素が一度に増えます。最大のリスクは脱走で、土地勘のない場所では見つけにくくなります。連れて行く場合は1部屋を猫専用にして、キャリーごと置いて自分から出てくるのを待ってください。
ペットシッターは何を確認して選べばいいですか?
動物取扱業の登録、事前打ち合わせの有無、1日の訪問回数と滞在時間、報告の方法、鍵の扱い、賠償責任保険。加えて「猫が隠れて出てこなかったときにどうするか」を聞いてください。水や食事の減り方で状態を確認して報告してくれるかどうかで、留守中の安心度が変わります。
予約はいつまでにすればいいですか?
お盆・年末年始・ゴールデンウィークは埋まるため、日程が決まった時点で押さえるのが確実です。初めて使う先は事前打ち合わせや書類が必要なことが多く、直前では間に合いません。繁忙期は1〜2か月前を目安にしてください。
預けている間、猫がごはんを食べないことはありますか?
あります。環境が変わった直後に食べない猫は珍しくありません。フードとトイレ砂を普段のまま持ち込めるだけで、変わる要素が減ります。丸一日食べていない場合は連絡をもらえるよう、預ける前に基準を決めておいてください。