同じ猫じゃらしなのに、1匹は夢中で追いかけ、もう1匹は座って見ているだけ。同じ家の同じ環境で、この差が出ます。
先に結論を書きます。猫には狩りの得意分野があります。床を走る獲物を狙う型と、飛ぶ獲物を狙う型です。おもちゃが合わないのではなく、型に合わない動かし方をしているだけのことが多いところです。
3日で分かる、見分け方
難しい観察は要りません。同じおもちゃで、次の2通りを試して回数を数えるだけです。
- 床を這わせる。低い位置で、素早く横に走らせる。これを3回
- 空中で動かす。猫の頭より上でひらひらさせる。これを3回
それぞれ「腰を落として構えた回数」を数えてください。追いかけた回数ではなく、構えた回数です。構えるのは本気の合図で、追いかけるのは付き合いでもやります。
3日ぶん取れば、たいていはっきり偏ります。
型ごとの特徴
| 床ハンター型 | ジャンプ型 | |
|---|---|---|
| 反応する動き | 低い位置の素早い横移動 | 頭より上、不規則に落ちる動き |
| 構えの姿勢 | 床に伏せて後ろ足を踏む | 座って首を振り、後ろ足に力をためる |
| 好む獲物 | ネズミ・虫の動き | 鳥・蝶の動き |
| 向くおもちゃ | 走行型、転がるボール | 羽根、鳥型、吊り下げ |
| 気をつけること | 家具の下に入って終わる | 着地の負担。シニアと肥満は高さを抑える |
床ハンター型にはHuntMaster(自動走行猫じゃらし)やインタラクティブローリングボールのような床を移動するタイプ、ジャンプ型にはフライングバード 2.0のような高さの変化をつけやすいタイプが噛み合います。
いちばん多いのは、実は混合型です
きれいに分かれる猫ばかりではありません。床で構えて、最後だけ跳ぶという猫が多数派です。この場合は、床を這わせる時間を長く取り、最後の一撃だけ高さを使うと、いちばん乗ってきます。
言い換えると、迷ったら床から始めるのが正解です。床ハンター型に空中の動きは効きませんが、ジャンプ型でも床の動きには反応します。始点を低くしておくほうが外しません。
型は一生同じではありません
- 子猫はほぼ全部に反応します。型が固まるのは1歳前後からです
- 体重が増えると、ジャンプ型は床型に寄ります。本人の好みではなく、跳ぶのがつらくなるためです
- シニアも同じ方向に変わります。これは自然な変化なので、高さを下げて付き合ってください
- 環境でも変わります。高い場所が少ない家では、ジャンプ型でも跳ぶ機会が減ります
気をつけたいのは、変化が急なときです。先月まで跳んでいた猫が跳ばなくなったなら、型が変わったのではなく、関節や体重の問題かもしれません。
型に合わせて、遊ぶ場所をつくる
型が分かっても、部屋が合っていないと動きは出ません。おもちゃを買い足す前に、遊ぶ場所を整えてください。出費が要らないぶん、いちばん早く変わります。
- 床ハンター型には、まっすぐ走れる距離が要ります。目安は3歩から4歩ぶん。細い通路では、加速する前に行き止まりです
- 家具の下は、遊びの終着点になります。入り口をふさぐか、そちらへ向かわない側からおもちゃを動かしてください
- ジャンプ型は、高さより着地する場所が大事です。フローリングへ直接降りると滑るので、着地点にラグを一枚。高さは座った背より少し上から始めます
| 床ハンター型 | ジャンプ型 | |
|---|---|---|
| 要る空間 | 走れる直線3歩ぶん | 安全に降りられる平らな面 |
| 先に片づけるもの | 通路の荷物、床の小物 | 着地点の滑るもの、割れもの |
| 途切れる原因 | 家具の下へもぐり込む | 着地で滑る、高さが合わない |
型に関係なく共通なのが、遊び終わったあとの片づけです。羽根や細いひも、外れやすい部品は、その都度しまってください。ひもや細長いものの誤飲は、様子を見てよいものではありません。飲み込んだ可能性があるときは、その日のうちに動物病院へご連絡ください。
型が分からないうちに、やらないほうがいいこと
反応が薄いときにやりがちで、逆効果になるものが2つあります。
- おもちゃを次々に出す。1回の遊びで3種類も出すと、猫はどれにも集中できません。1回につき1つで構いません
- レーザーポインターに頼る。反応はしますが、絶対に捕まえられません。狩りが完了しないので、興奮だけが残りやすくなります。使うなら最後は必ず実物のおもちゃに着地させて、それを捕らせて終えてください
そしてもう一つ。手や足を直接おもちゃにしないでください。子猫のうちは可愛くても、成猫になると力が変わります。「人の手=獲物」を覚えた猫に、あとから区別を教え直すのは簡単ではありません。
型に合わせても遊ばないとき
型は入口にすぎません。合っているのに乗ってこないなら、原因は別です。
- 動かし続けていないか。止める時間がないと、猫は構える段階に入れません
- 捕まえさせているか。捕れないまま終わると、次から参加しなくなります
- 時間帯は合っているか。明け方と夕方がいちばん活発です
1と2の具体的なやり方と、手の動かし方の基本は猫の狩りのサイクルにまとめています。型を当てるより、こちらのほうが効きます。
もう一点、型は「好み」であって「必要量」ではありません。床ハンター型の猫にも上下運動は必要ですし、ジャンプ型の猫にも床での追いかけっこは要ります。型は入口を決めるものであって、片方だけやっていればよい、という話ではありません。上下方向の環境づくりは猫の上下運動をつくるのほうにまとめています。
多頭で型が違う場合
これはよく起きます。1本のおもちゃで2匹を同時に相手にすると、型が合っているほうだけが遊び、もう1匹は降ります。
- おもちゃは2本用意して、両手で別々に動かす
- それが難しければ、1匹ずつ別の部屋で。手間はかかりますが確実です
- 降りてしまう側を、先に単独で遊ばせる。後回しにすると差が広がります
型が分かると、買い物が変わります
ここがいちばん実利のある話です。床ハンター型の家に羽根の吊り下げおもちゃを買っても、ほぼ使われません。逆も同じです。
おもちゃが増えるのに遊ばない、という家では、たいてい片方の型のものばかりが溜まっています。次の1つを買う前に、いま家にあるおもちゃを床用と空中用に分けてみてください。偏っているほうが、そのまま答えです。選択肢はたっぷり遊べるトイにまとめています。
こういうときは獣医師へ
- 先月まで跳んでいたのに、急に跳ばなくなった
- 着地でよろける、着地音が以前より大きい
- 跳ぶ前にためらう、鳴く
- 片側の後ろ足だけ使い方が違う
- 遊びの途中で息が上がり、戻るのに時間がかかる
- 床の動きにも空中の動きにも、まったく反応しなくなった
とくに1つめと2つめは、関節の痛みが出たときに最初に現れる変化です。猫は痛みを隠すので、「落ち着いた」「大人になった」と見えることがあります。年齢で説明せず、一度動物病院にご相談ください。
よくあるご質問
うちの猫のタイプはどうやって調べますか?
同じおもちゃで、床を這わせる動きと空中でひらひらさせる動きを各3回試し、それぞれで腰を落として構えた回数を数えてください。追いかけた回数ではなく、構えた回数です。3日ぶん取れば、たいていどちらかに偏ります。
床ハンター型とジャンプ型、どちらが多いですか?
実際にはきれいに分かれない混合型がいちばん多く、床で構えて最後だけ跳ぶ猫が多数派です。迷ったら床から始めてください。床ハンター型に空中の動きは効きませんが、ジャンプ型でも床の動きには反応するためです。
タイプは変わりますか?
変わります。子猫はほぼ全部に反応し、型が固まるのは1歳前後です。体重が増えたりシニアになったりすると、ジャンプ型は床型に寄ります。ただし急に跳ばなくなった場合は、型の変化ではなく関節や体重の問題のことがあります。
タイプに合わせたのに遊びません。
型は入口にすぎません。動かし続けていないか、捕まえさせているか、時間帯は明け方や夕方かの3つを先に確認してください。この3つのほうが、型を当てることより結果に効きます。
2匹でタイプが違う場合はどうすればいいですか?
1本のおもちゃで同時に相手にすると、型が合っているほうだけが遊びます。おもちゃを2本用意して両手で別々に動かすか、1匹ずつ別の部屋で遊ばせてください。降りてしまう側を先に単独で遊ばせると、差が広がりません。