猫の上下運動をつくる|キャットタワーが要る家・要らない家

運動不足だからキャットタワーを買った。届いて組み立てて、猫は一度も乗らない。この相談がいちばん多いところです。

先に結論を書きます。キャットタワーは「高さ」を足す道具ではなく、「上への経路」をつなぐ道具です。経路が途切れている家では効きますが、すでに家具でつながっている家では、買っても使われません。

猫が上に行くのは、運動のためではありません

高い場所を好むのは、そこが安全だからです。見晴らしがきいて、背後から近づかれず、犬や子どもや掃除機の届かない位置にいられる。猫にとって上とは、運動場ではなく安心して周りを見ていられる席です。

ここを取り違えると選び方がずれます。判断すべきは「家に高い場所があるか」ではなく、猫が落ち着いて居られる高い場所があるかです。冷蔵庫の上が高くても、モーターが震えていれば席にはなりません。

まず、家の「上への経路」を数えてください

猫は一段で最上部まで行くわけではありません。踏み台があり、中継があり、その先に居場所がある。この3段が揃って初めて上が使われます。

高さ帯 役割 家にある例 抜けているときの様子
床〜40cm 助走・踏み台 ソファ、低い棚、収納ケース いきなり跳ぶので着地音が大きい
40〜100cm 中継 チェスト、机、窓辺、カウンター 上に行かない。または無理な跳び方をする
100cm〜 見張り・寝床 本棚の上、タンス、吊り棚 落ち着ける場所がなく、床で寝てばかりになる

実際に多いのは中継だけが抜けている家です。この場合、タワーを買わなくても解決することがあります。チェストを本棚の横に寄せる、使っていないスツールを窓辺に置く。それだけで床から窓辺、窓辺から棚の上へと道がつながります。

キャットタワーが要る家・要らない家

要る家は、はっきりしています。

  • 家具が全体的に低く、100cm を超える着地点がない
  • ワンルームで、置ける家具が少ない代わりに壁面が空いている
  • 多頭飼いで、高い場所の取り合いが起きている(席が頭数分ない)
  • 賃貸で壁に棚を付けられない
  • シニアで、いまの家具の段差が大きすぎて登れなくなってきた

このうち多頭飼いは、頭数が増える前に手を打てる項目です。席が頭数分あるかどうかは、2匹目を迎える前に数えておくほうが早く済みます。増やす数の一覧は2匹目を迎える前ににまとめています。

逆に、窓辺から机、机から棚へと経路がつながっていて、猫が毎日そこを使っているなら、タワーは要りません。席を増やしても座る猫がいなければ意味がないからです。

買う前の確認はひとつです。猫がいま、一日でいちばん長くいるのは高さ何 cm ですか。それが床なら経路の問題、それが棚の上なら足りています。

選ぶときは、高さより先にこの4点

  1. ステップの間隔。20〜30cm が目安です。成猫が余裕を持って登れる幅で、シニアや子猫にはさらに狭いほうが安全です。総高よりここを先に見てください
  2. 土台の安定。揺れるタワーには猫は乗りません。一度こわい思いをすると、その後どれだけ誘っても戻らないことがあります。土台の幅と重さ、そして壁に寄せて置けるかを確認してください
  3. 頂上が「面」になっているか。猫が丸まって寝られる広さがあるかどうかで、席として使われるか、通過点で終わるかが分かれます
  4. 置ける場所があるか。先に置き場所を決めて、その寸法から選ぶ順番です。買ってから場所を探すと、たいてい通り道の真ん中に立ちます

TimberClimb(木製キャットタワー)のような木製の据え置きタイプは、土台の重さで安定を取る作りです。一方、経路の中継だけが足りない家なら、タワーより木製キャットウィンドウベッドのような窓辺の一段を足すほうが、場所も取らず使用率も上がります。足りていないのが「席」なのか「中継」なのかで、買うものが変わります。

表面の素材で迷ったときは猫の爪とぎでカスが出ないのはどれ?素材別の散らかり方を比べるも参考になります。タワーの爪とぎ面でも、素材ごとの散らかり方は同じです。

置き場所で、使われるかどうかが決まります

  • 窓が見える位置に。外が見えるかどうかが、いちばん使用率を変えます
  • 部屋の隅より、人の動きが見える位置。猫は見張れる席を選びます
  • エアコンの真下は避ける。夏は熱がたまり、冬は直風が当たります
  • 通り道の真ん中は避ける。人が横を通るたびに落ち着けません
  • 壁に寄せる。背面が守られているだけで座り心地が変わります

買ったのに乗らないとき

まず1週間は動かさないでください。新しい家具は、猫にとってはただの見知らぬ物体です。置いた翌日に乗らないのは普通のことです。

そのうえで、順にこう試します。

  1. 揺れを確認する。手で押してわずかでも動くなら、壁に寄せる、脚の下に滑り止めを敷く
  2. 普段使っている寝床の布やタオルを頂上に置く。条件は自分のにおいがついていることで、新品のマットでは効きません
  3. 遊びの終点をタワーの上にする。猫じゃらしを下から上へ動かして、最後に頂上で捕まえさせる
  4. それでも登らないなら段差の問題。中継になる台をひとつ横に足す

おやつを頂上に置いて誘う方法は、食べたら降りて終わりになりがちです。席として定着させたいなら、寝られる場所にするほうが確実です。日ごろの運動量の考え方は室内猫の運動不足解消|長さではなく回数で考えるにまとめています。

こういうときは獣医師へ

上下運動は健康の話とつながっています。次のような変化は、家具の問題ではない可能性があります。

  • 今まで登っていた場所に、登らなくなった
  • 着地のときによろける、後ろ足を引きずる
  • 飛び降りるときに一度ためらう、鳴く
  • 高い場所から降りられなくなることがある
  • 体重が短期間で増えた、または減った

とくに最初の項目は見落とされやすいところです。猫は痛みを隠すため、登らなくなることが最初のサインになることがあります。年齢のせいと決めずに、一度動物病院にご相談ください。ふだんの環境づくりは室内猫の必需品にまとめています。

よくあるご質問

キャットタワーは必要ですか?

家によります。窓辺から机、机から棚へと上への経路がつながっていて猫が毎日使っているなら要りません。家具が低くて100cmを超える着地点がない、賃貸で棚を付けられない、多頭で高い場所の取り合いが起きている、といった場合は必要です。猫がいま一日でいちばん長くいる高さを確認するのが判断の近道です。

キャットタワーの高さはどれくらい必要ですか?

総高より、ステップの間隔のほうが重要です。20〜30cmが目安で、シニアや子猫にはさらに狭いほうが安全です。高いだけで段差が大きいタワーは、途中までしか使われないか、着地に無理が出ます。

買ったのに乗ってくれません。

1週間は動かさずに様子を見てください。そのうえで、手で押して揺れるなら壁に寄せる、普段使っている寝床の布を頂上に置く、猫じゃらしの終点を頂上にする、の順に試します。おやつで誘うと食べて降りて終わりになりがちなので、寝られる場所にするほうが定着します。

どこに置くのがいいですか?

窓が見える位置がいちばん使われます。加えて、人の動きが見える場所、背面が壁で守られている場所を選んでください。エアコンの真下と、人が頻繁に通る動線の真ん中は避けます。

シニア猫にもキャットタワーは置いていいですか?

置いて構いませんが、段差の狭いものを選び、高さは控えめにしてください。今まで登れていた場所に登らなくなった、着地でよろける、飛び降りる前にためらうといった変化があるときは、家具ではなく体の問題のことがあります。年齢のせいと決めずに動物病院にご相談ください。

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