早食いで吐く。留守番中が暇そう。そう思って知育フィーダーを買ったのに、猫が数回鼻を近づけただけで、そのまま棚の奥にしまわれている。よくある結末です。
先に結論を書きます。知育フィーダーは「ごはんをあげる道具」ではなく、「食べるまでの手順を増やす道具」です。ですから、いま困っているのが早食いなのか、退屈なのか、食べムラなのかで、選ぶ形も置き方も変わります。切り分けが先です。
まず、何を解決したいのかを決めてください
| 困りごと | 起きていること | 向くタイプ |
|---|---|---|
| 早食い・吐き戻し | 噛まずに一気に飲み込んでいる | 溝や突起で口が入りにくい皿型、転がして少しずつ出る型 |
| 留守中の退屈 | 刺激のない時間が長い | 転がる型。小分けにして数か所に置く |
| 食べムラ・残す | 食器・場所・体調が原因のこともある | まずフィーダー以外の原因を確認 |
3つめだけ扱いが違います。食べない猫に、食べにくい仕組みを足してはいけません。食器の高さ、置き場所、水との距離、体調。そちらを先に見てください。
いちばん多い失敗は「最初から難しすぎる」
猫は「頑張れば出てくる」を最初から知っているわけではありません。数回試して出てこなければ、その物体はごはんではなくなります。一度そう学習すると、あとから簡単にしても戻りにくくなります。
ですから初日は簡単すぎるくらいで始めます。出口はいちばん広く、蓋があるなら外し、中身が見える状態で置く。「これは食べ物だ」と分かることが最初の目的で、頭を使わせるのはそのあとです。
もう一つ知っておくと待てます。中身を掻き出すときに猫が使うのは、口ではなく前足です。最初は鼻と口だけで探ろうとする猫が多く、前足を差し入れる動作に切り替わるまでに数日かかります。前足を上げる・宙で掻く仕草そのものの意味は猫が前足を上げるのはなぜにまとめました。この動作が出るまで難度は上げないでください。
始め方の1週間
- 1〜2日目:空のまま床に置く。においを嗅いで、前足で触れば十分です
- 3日目:出口を最大にして、いつものフードを入れる。1粒でも自力で出せたら成功です
- 並行して、いつもの食器も必ず残す。ここが最重要です
- 安定して出せるようになってから、出口を狭める。1段階ずつで構いません
- 1日の総量は変えない。フィーダー分は普段の量から取り分けます
絶対にやってはいけないのは、初日からフィーダーだけにすることです。猫が食べない時間が続くのは危険で、とくに肥満気味の猫では短期間の絶食が問題になることがあります。「出せなければ食べられない」という状況は作らないでください。
効いているかは、時間で見ます
判断はかんたんです。ふだんの食器で食べ終わるまでの秒数と、フィーダーで食べ終わるまでの秒数を一度ずつ測ってください。倍以上かかっていれば、早食い対策としては機能しています。
逆に、ほとんど変わらないなら難度が低すぎます。出口を1段階狭めてください。残してしまうなら難度が高すぎます。1段階戻してください。感覚ではなく、この1つの数字で調整すると迷いません。
| 測った結果 | 難度の判断 | 次にやること |
|---|---|---|
| ふだんの食器とほぼ同じ秒数 | 低すぎる | 出口を1段階だけ狭める |
| 2〜3倍かかる | ちょうどよい | 変えずに続ける |
| 5倍以上かかる、途中でやめてしまう | 高すぎる | 1段階戻し、入れる量も減らす |
| 最後まで残す日が続く | この形が合っていない | 食器に戻し、おやつだけで使う |
測るのは最初と、難度を変えたときの1回で足ります。毎食計る必要はありません。
転がるタイプは、床と置き場所で決まります
スーパーマンフードディスペンサー(早食い防止知育フィーダー)のような転がして出すタイプは、置く場所の影響を強く受けます。
- フローリングは転がりすぎます。猫が少し触れただけで部屋の端まで行き、追うのをやめます。ラグの上が扱いやすい
- 家具の下に入るサイズは避ける。ソファ下に入って終わり、が定番の失敗です
- 音を確認する。硬い床で中身が鳴る音を嫌がる猫がいます
- 多頭飼いなら頭数より多く用意する。1つだと強い子が占領します
留守番中に使う場合は、電池や充電式の自動タイプではなく、こうした電源の要らないものを選んでください。無人の家で長時間動かし続ける前提の道具ではありません。留守番そのものの考え方は猫の留守番は何日まで?にまとめています。
ウェットフード中心の家では
知育フィーダーの多くはドライ前提の作りです。ウェット中心なら、無理にごはん全体を移す必要はありません。
- おやつやトッピングだけをフィーダーに入れる
- 食事とは切り離して「探す遊び」として使う
- 紙コップや箱に少量を隠す方法でも、目的は同じです
目的は「頭を使う時間を作る」ことであって、フィーダーを使うことではありません。道具が合わないなら、やり方のほうを変えて構いません。
知育フィーダーが向かない猫もいます
正直に書いておきます。すべての猫に合う道具ではありません。
- もともと食が細い猫。手間が増えた分だけ食べる量が減ることがあります
- シニアで、前足や首に負担がある猫。低い姿勢を続ける形は避けてください
- 短頭種など、口の構造で溝の底まで届きにくい猫。深い溝の皿型は不向きです
- ほかの猫に食べられてしまう環境。時間がかかる仕組みは、横取りされる時間も長くなります
これらに当てはまる場合、無理に食事全体を移さず、おやつ数粒だけを使う形に留めるのが現実的です。効果を取りにいって食事量が落ちるのでは本末転倒です。
手入れは毎日
ここを軽く見ると続きません。フードの脂と唾液が溝に残り、においが出て、猫が使わなくなります。
買う前に分解して洗える構造かどうかを確認してください。洗いにくい形は、結局は使われなくなります。ドライでも毎日ゆすぐ、週に一度はしっかり洗う、くらいが目安です。
洗い方に特別なことはいりません。ぬるま湯で溝をゆすぎ、週に一度は洗剤で洗い、そのあと完全に乾かす。乾かしきらないまま次のフードを入れると、においの原因はかえって増えます。使っていた猫が急に使わなくなったときも、まず道具のにおいを疑ってください。
頭を使わせる時間は、遊びとセットで
フィーダーだけで退屈が解決するわけではありません。狩りの動きを伴う遊びと、頭を使う食事は役割が違います。日ごろの運動量の考え方は室内猫の運動不足解消|長さではなく回数で考える、ひとりで過ごす力の育て方は猫にひとり遊びを覚えてもらう方法にまとめています。
こういうときは獣医師へ
- 食後すぐの嘔吐が繰り返される
- 体重が減っている、または急に増えた
- 急に食べなくなった、丸一日食べていない
- 飲み込みづらそう、フードを口からこぼす
- 異様に食欲が増した
- シニアで、食べる速度や量が明らかに変わった
早食いは癖のことが多いのですが、食欲が急に増えるのは病気のサインであることがあります。また、食べない状態が続くのは猫では緊急性が高い場合があります。フィーダーで様子を見る前に、動物病院にご相談ください。ふだんの食まわりの道具は室内猫の必需品にまとめています。
よくあるご質問
知育フィーダーは早食い対策になりますか?
なります。溝や突起で口が入りにくい皿型、転がして少しずつ出る型のどちらも、食べる速度を落とせます。ただし1日の総量は変えないでください。フィーダー分は普段の量から取り分けて使います。
買ったのに使ってくれません。
難しすぎる状態から始めた可能性が高いです。出口をいちばん広くし、蓋は外し、中身が見える状態に戻してください。数回試して出なければ猫はごはんだと認識しなくなるため、最初は簡単すぎるくらいで構いません。
いつもの食器はやめてもいいですか?
やめないでください。フィーダーだけにすると、出せなかった日に食べられません。猫が食べない時間が続くのは危険です。安定して自力で出せるようになるまでは、必ず並行して置いてください。
留守番中に置いても大丈夫ですか?
電源の要らない転がすタイプなら置けます。家具の下に入らないサイズを選び、ラグの上に置いてください。電池式や充電式の自動タイプを無人の家で長時間動かすのは避けてください。
ウェットフードでも使えますか?
多くはドライ前提の作りです。ウェット中心なら、おやつやトッピングだけを入れる、あるいは食事とは切り離して探す遊びとして使ってください。目的は頭を使う時間を作ることなので、道具にこだわる必要はありません。