猛暑のあいだはよく飲んでいたのに、涼しくなり始めた途端、水入れが減らなくなる。夏バテを心配していたら、今度は水を飲まない。毎年この切り替わりで気づく方が多いところです。
先に結論を書きます。猫の飲水量が落ちるのは、暑さが引いたときです。そして泌尿器のトラブルが増えるのは、そこから涼しくなっていく時期だと言われています。だから対策は、寒くなってからではなく残暑のいまです。
なぜ涼しくなると飲まなくなるのか
理由は単純です。暑いあいだは体温を下げるために水分が要りますが、涼しくなればその必要が減ります。猫はもともと喉の渇きを感じにくい動物で、砂漠出身の祖先の名残りから、少ない水で生きられるようにできています。
つまり「猫が自分で必要なだけ飲む」という前提が、そもそも成り立ちにくいということです。ここが犬との大きな違いで、水を出しておけば足りる、とは考えないほうが安全です。
まず、いま何ml飲んでいるか測ってください
感覚では分かりません。1日だけ測れば十分です。
- 朝、器に入れた水の重さを量る(器ごとでOK)
- 24時間後、同じ器をもう一度量る
- 差が、飲んだ量とだいたい同じです(1g ≒ 1ml)
- 蒸発分があるので、水だけ入れた器をもう1つ、猫の届かない場所に置いて差し引くと正確です
目安として、体重1kgあたり1日およそ50ml前後がよく挙げられます。4kgの猫なら200ml前後です。ただしこれはドライフード中心の場合で、ウェット中心なら食事から多くの水分を摂っているため、飲む量はずっと少なくなります。数字だけで慌てないでください。
飲む量を増やす、効く順
| やること | 効きやすさ | 手間 |
|---|---|---|
| 器の数を増やす・置き場所を分散 | 高い | ほぼゼロ |
| ウェットフードを1食足す | 非常に高い | 費用のみ |
| 器の材質・形を変える | 猫による | 小 |
| 流れる水(給水器)にする | 猫による | 手入れが必要 |
| ぬるま湯にする | 低〜中 | 小 |
いちばん確実で、いちばんタダなのは1つめです。器を一つ増やして別の部屋に置く。これだけで飲水量が変わる家は多くあります。猫は「喉が渇いたから水場まで行く」より「通りかかったから飲む」に近い動き方をします。
置き場所の3つのルール
- トイレから離す。排泄場所の近くの水を避ける猫は多いです
- ごはんの器からも少し離す。並べて置くのが当たり前になっていますが、別の場所のほうが飲む猫がいます
- 通り道に置く。寝床から水場、水場からトイレ、と動線上に配置します
あわせて、ヒゲが器の縁に当たらない広さかどうかも見てください。深くて狭い器を嫌う猫はよくいます。飲むときに首を大きく下げている、器の縁を気にしているようなら、浅く広いものに替えるだけで変わることがあります。
給水器を使う場合
流れる水を好む猫には効きますが、全部の猫に効くわけではありません。音を嫌って近寄らなくなる猫もいます。導入するなら、いまの器は残したまま並べて置いて、数日様子を見てください。
選び方は猫の自動給水器の選び方|そもそも必要かを先に決めるにまとめています。Aqua Bot 2.0(フィルター不要の猫用自動給水器)のようなフィルター不要のタイプを選んでいるのは、交換部品を切らして止まる、という失敗が起きにくいためです。
ただしどのタイプでも、手入れを続けられなければ意味がありません。ぬめりが出た給水器は猫が避けます。使わなくなった原因が「飽き」ではなく「汚れ」であることは珍しくありません。手入れの現実的な回し方は猫用給水器のお手入れを参照してください。
食事から水を増やすのがいちばん速い
飲ませようとするより、食事の水分を増やすほうが確実です。
- ドライ中心なら、1日1食だけウェットに置き換える
- ウェットに大さじ1杯の水やぬるま湯を足す。多くの猫は気づかず食べます
- 急に全部を変えない。消化器がついていかないことがあります
- 療法食を食べている猫では、自己判断で食事内容を変えないでください
多頭飼いと、シニアで変わること
頭数が増えると、水場の問題は「量」より「取り合い」になります。
- 器は頭数+1、そして別々の部屋に。同じ部屋に並べても、弱い側は飲みに行けません
- 強い猫が水場の前に居座る場合、立場の弱い猫は飲水量が落ちます。体調を崩すのはたいていこちら側です
シニアでは事情がまた違います。関節に痛みがあると、低い位置の器で首を下げるのがつらくなります。飲む量が減った高齢猫では、器を少し高くするだけで戻ることがあります。そして高齢猫は、腎臓の状態によって飲水量そのものが変わることが知られています。「よく飲むようになった」も変化のうちで、増えた場合も一度は相談してください。
残暑のあいだに、暑さ対策も止めないこと
朝晩が涼しくなっても、日中の室温はまだ上がります。「もう9月だから」でエアコンを止めた日が、いちばん危ないことがあります。留守中の室温管理は猫の暑さ対策|酷暑日に室内でできることのまま続けてください。
こういうときは獣医師へ
次の変化は、水分の話ではなく病気のサインであることがあります。
- おしっこが出ていない、何度もトイレに行くのに少ししか出ない
- トイレで鳴く、排尿時に痛そうにする
- おしっこに血が混じっている
- 逆に、水を飲む量とおしっこの量が急に増えた
- よく食べているのに体重が減っている
- 丸一日、水も食事もとっていない
最初の項目は猫では緊急性が非常に高い場合があります。とくにオス猫で尿が出ていないときは、様子を見ずにその日のうちに動物病院へ連絡してください。4つめと5つめの組み合わせも、高齢猫では早めの受診が勧められる変化です。水まわりの道具は室内猫の必需品にまとめています。
よくあるご質問
猫は1日にどのくらい水を飲めばいいですか?
体重1kgあたり1日およそ50ml前後がよく目安に挙げられます。4kgなら200ml前後です。ただしこれはドライフード中心の場合で、ウェット中心なら食事から水分を摂っているため飲む量は少なくなります。器の重さを24時間の前後で量ると、実際の量が分かります。
涼しくなってから水を飲まなくなりました。
体温を下げるための水分が要らなくなるためで、季節の変わり目にはよくあることです。ただし飲水量が落ちた状態が続くのは望ましくないので、器を増やして置き場所を分散する、ウェットを1食足すといった対策を、寒くなる前に始めてください。
水を飲ませるのに、いちばん効く方法は?
費用対効果でいえば、器の数を増やして別の部屋にも置くことです。猫は喉が渇いて水場へ行くより、通りかかって飲むほうに近い動き方をします。確実性でいえば、ウェットフードを1食足すのがいちばん速い方法です。
給水器を買えば解決しますか?
流れる水を好む猫には効きますが、全部の猫に効くわけではありません。音を嫌って近寄らない猫もいます。導入するときは今の器を残したまま並べて置いてください。また手入れを怠るとぬめりで猫が避けるため、洗い続けられる形かどうかで選んでください。
水入れはどこに置けばいいですか?
トイレから離し、ごはんの器からも少し離してください。そのうえで、寝床から水場、水場からトイレという動線上に複数置くのが効きます。器はヒゲが縁に当たらない浅く広いものが好まれることが多いです。