夜中に走り回る猫|寝る前30分の組み立て方

深夜2時に廊下を全力で往復する。明け方4時、枕元で鳴かれて起こされる。調べると「猫は夜行性だから」と書いてあって、そこで話が終わってしまう。

先に結論を書きます。猫は完全な夜行性ではありません。明け方と夕方にいちばん活発になる動物です。だから直すべきなのは夜そのものではなく、寝る前の順番と明け方の対応の2か所だけです。

「なぜ走るのか」は、ここでは扱いません

夜に動くのは、明け方と夕方に活発になる習性に、日中の刺激不足が重なって起きます。ただ、理由が分かっても夜は変わりません。変わるのは順番を変えたときだけです。

ですからこの記事では原因の説明はここまでにして、以下は時間の組み立て方だけを扱います。

順番は「遊び → 食事 → 暗くする」

猫の自然な流れは、狩る → 食べる → 毛づくろい → 眠る、です。この順番に乗せるだけで、眠りに向かいやすくなります。

タイミング やること 目的
就寝60分前 遊び 10〜15分 狩りのサイクルを一度完了させる
就寝45分前 食事(1日の量から取り分けた分) 満腹から眠気へつなげる
就寝30分前 照明を落とす、静かにする 人が寝る合図を作る
就寝直前 トイレと水を確認 途中で起きる理由を消す

逆順にすると効きません。食事のあとに遊ぶと、そこで目が覚めます。「遊んでから食べる」がこの順番の要点です。

大事なのは時刻を毎日そろえることで、何時にするかは家庭の都合で構いません。猫が覚えるのは時計ではなく順番と間隔です。

寝る前の遊びは、長さより終わり方

15分振り続けても、最後に捕まえさせていなければ興奮だけが残ります。最後は必ず捕らせて終える。これだけで寝つきが変わることがあります。

動かし方そのものは猫じゃらしの動かし方に詳しく書きました。ワイルドウィングチェイス(羽ばたく猫じゃらし)のような不規則に動くタイプは、短時間で狩りの形を作りやすい道具です。

シニアや体重の重い猫では、高く跳ばせる遊びは避けてください。床を這わせる動きだけでも、狩りのサイクルは完了します。

明け方4時に起こされる場合

ここは夜とは別の問題として扱ってください。反応した時点で、その行動は強化されます。ごはんをあげる、声をかける、追い払う。どれも猫にとっては「鳴けば人が動く」という結果です。

やることは2つだけです。

  1. 完全に反応しない。声も出さない、目も合わせない、寝返りも打たない
  2. 起きる理由のほうを消す。空腹、水、トイレ、暑さ寒さ

1つめについて先に知っておいてほしいことがあります。無視を始めると、最初の数日はかえって激しくなります。これまで効いていた方法が効かなくなり、猫が「もっと強く」を試すためです。ここで一度でも折れると、次からはその強さが基準になります。逆に言えば、この山を越えれば落ち着きます。

2つめは道具で解決できます。夕食を全部夜のうちに与えず、一部を明け方用に残すのが現実的です。知育フィーダーに少量を仕込んでおくと、起きた猫が自分で解決して、人を起こす必要がなくなります。

夜中におもちゃをくわえて鳴くとき

走り回るのではなく、おもちゃを寝室まで運んできて、その横で鳴く猫もいます。走り回りとは対応が変わるので、分けて考えてください。

これは遊びの誘いです。夜に限って起きるのは、日中に誘っても人が動かず、夜のほうが反応が返ってくると学習しているためであることが多いです。くわえて運ぶ行動そのものの意味は猫がおもちゃをくわえて持ってくる理由にまとめました。

やることは2つです。

  • 夜は相手をしない。運んできても、その場では反応しない
  • 日中と夕方に、誘われる前に遊ぶ。猫の側から誘う必要をなくす

夜だけ断って日中も遊ばないと、誘い方が激しくなるだけです。断ることと、別の時間に振り替えることは、必ずセットにしてください。

なお、おもちゃを片づけて寝室に持ち込めないようにしても、鳴く理由そのものはなくなりません。道具を隠すより、遊ぶ時間を前に動かすほうが早く落ち着きます。

光と音を先に整える

行動の前に環境です。ここが原因なら、しつけの問題ではありません。

  • カーテンを閉める。外が白み始める時間に反応して起きる猫がいます
  • 窓から外猫や鳥が見える位置を確認する。見えていると、そこで興奮します
  • 家電の作動音。製氷機や給湯、タイマー式の機器が夜中に鳴っていないか
  • 室温。秋は明け方に急に冷えます。寒くて動き出す、暖かい場所を探して歩き回ることがあります
  • エアコンや暖房のタイマー。切れた直後の温度変化と、起動音のどちらでも猫は起きます
  • 寝場所を用意する。ピーカブーケーブ(猫用隠れ家ベッド)のような囲われた寝床が寝室の外にあると、そこで寝る選択肢ができます

環境側は一度直せば毎晩効きます。行動の練習より先に、こちらを一巡させてください。

寝室に入れるか、入れないか

どちらでも構いませんが、途中で変えないでください。いちばん悪いのは、鳴かれた日だけ開けることです。それは「鳴けば開く」を教える手順そのものになります。

閉め出す場合は、扉の外に水・トイレ・寝床・遊べるものを揃えてから始めてください。何もない廊下に出されるだけでは、鳴く理由が増えるだけです。日中の運動量の作り方はたっぷり遊べるトイも参考にしてください。

多頭飼いと、子猫の場合

頭数が増えると夜は難しくなります。1匹が動き出すと連鎖するため、寝る前の遊びは全員分やる必要があります。1匹だけ遊ばせて満足させても、遊べなかった子が夜に動きます。

子猫は事情が違います。体力が余っているというより、まだ生活リズムが固まっていない段階です。この時期に「鳴けば人が起きる」を覚えさせないことが、その後数年を左右します。かわいそうに思えても、夜に応じない基準は最初から一定にしてください。

逆に、生後半年ごろまでの子猫が夜中に動くこと自体は、異常ではありません。成長とともに落ち着きます。直すべきは活動量ではなく、人を起こす習慣のほうです。

それでも変わらないときに疑うこと

環境と順番を整えても夜の行動が続く、あるいは急に始まった場合は、行動の問題ではない可能性があります。

とくに高齢猫の夜鳴きは、認知機能の変化のほか、甲状腺の病気、高血圧、痛み、視力や聴力の低下が背景にあることが知られています。「年だから」で片づけないでください。これらは対応できることがあります。

手がかりは変化の速さです。順番を変えて2〜3週間かけて少しずつ落ち着いていくなら、生活リズムの問題として扱って構いません。一方、数日のうちに急に始まった、日を追って強くなる場合は、環境を整えても止まりません。

こういうときは獣医師へ

  • 今までなかった夜鳴きが、急に始まった
  • 高齢猫で、夜に大きな声で鳴くようになった
  • 水を飲む量やおしっこの量が増えた
  • よく食べているのに体重が減っている
  • 夜だけでなく日中も落ち着きがない、うろうろする
  • 触ると特定の場所を嫌がる、動きがぎこちない

上から4つは、高齢猫で頻度の高い病気のサインとして知られている組み合わせです。夜の行動だけを直そうとする前に、一度動物病院にご相談ください。

よくあるご質問

夜中に走り回るのをやめさせるには?

寝る前の順番を「遊び → 食事 → 暗くする」に固定してください。就寝60分前に10〜15分遊び、45分前に食事、30分前に照明を落とします。食事のあとに遊ぶと目が覚めるため、逆順にしないことが要点です。

明け方に鳴いて起こされます。

反応した時点で行動が強化されます。声も目も合わせず、同時に起きる理由のほうを消してください。夕食の一部を明け方用に残す、知育フィーダーに少量仕込むのが現実的です。無視を始めた最初の数日は激しくなりますが、そこで折れないでください。

寝る前にどのくらい遊べばいいですか?

10〜15分が目安ですが、長さより終わり方が重要です。最後に必ず捕まえさせて終えてください。捕らせないまま終えると興奮だけが残ります。シニアや体重の重い猫では、高く跳ばせず床を這わせる動きで構いません。

寝室に入れないほうがいいですか?

どちらでも構いませんが、途中で変えないことが重要です。鳴かれた日だけ開けるのが最も悪く、「鳴けば開く」を教えることになります。閉め出す場合は、扉の外に水・トイレ・寝床・遊べるものを揃えてから始めてください。

高齢の猫が夜に鳴くようになりました。

年齢のせいと決めないでください。認知機能の変化のほか、甲状腺の病気、高血圧、痛み、視力や聴力の低下が背景にあることが知られています。とくに急に始まった場合や、水を飲む量が増えた、よく食べるのに痩せてきたといった変化を伴う場合は、動物病院にご相談ください。

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